
ど、パブリックリレーションを重視していることなどの説明がありました。
現地視察では、改修後数年経過して岸辺に草花が繁茂している様子や小川で小さな子どもたちが遊んでいる姿、また民間の高級アパートの敷地内に復元された川(池)で住民が水泳を楽しんでいる姿を目の当たりにし、この事業が当初の目標どおり進展し、住民に受け入れられていることを実感することができました。現地視察に同行した市の担当者も、事業の効果に満足な様子で、丁寧に私たちの質問に答えてくれました。
このように、チューリッヒ市の試みは、その目的、手法、効果から見て大変すばらしい施策であると思います。しかし、すでに何らかの目的で利用されている土地を河川に変えることは、土地利用を著しく制約するものであり、土地に対する私権の意識が強い我が国においてこの事業をそのまま実施することは大変な困難を伴うことが予想されます。また、日本のような高温多湿という気候条件では、小川が大量の蚊が発生する温床になるおそれもあり、市街地に小川を再生させることの功罪を慎重に検討することが必要でしょう。したがって、この事業を単に模倣したり、あるいは反対に我が国には全く馴染まないものと否定したりするのではなく、計画の理念、事業手法などを参考として、それぞれの地域の特性に応じて学ぶべき点を見いだすことが重要だと思います。
このほか、チューリッヒ市の担当課長からは、料金の問題と汚泥処理の問題について興味深い説明がありました。
チューリッヒ市では、雨水についても下水道料金の対象となっており、土地の占用面積のうち舗装されている部分に応じて算定することとしています。これは、舗装されている部分では雨水が地中に浸透せず、下水管に流入するとの考え方によるものです。しかし、実際には、舗装部分を概算で算出しているため、不満を持つ住民から一千件もの訴訟が提起されているとのことでした。
汚泥については、法律で廃棄することが禁じられていることから、脱水、乾燥の後、農業用利用を除き、そのほとんどをセメント工場に有料で引き取ってもらい(市がセメント会社に200F/t支払っている)、燃料として焼却しています。しかし、汚泥の焼却については、有害物質が排出されるとして自然保護派の反対があるとのことでした。
4. ランス市の上水道(フランス)
ランス市は、シャンパーニュ地方の中央に位置し、非常に良質の水を供給しているといわれています。市の人口は約19万人ですが、上水道については広域行政圏が所管しており、周辺部を含めた約22万人に供給しています。
市の担当者からは、ランス市の水道事業の概要について次のような説明がありました。
●現在の配水能力は約10万m3で、使用水量は約4万m3であること
●水源は地下水のみで、採水地は市内に1力所、郊外に2カ所確保しているが、将来に備えて新たな採水地を探しているところであること
●採水地の井戸は、市内で地下10m、郊外では農薬の影響から地下20mとしていること
●採水地の周辺は可能な限り公有化するとともに、距離に応じて段階的に規制をかけていること
●フランスにおける下水道を含む水

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